朗読GIG #1 10/6(土)

井上チコさん主催「朗読GIG」の第一回目。
井上さんはKLIMPEREIの曲をバックに嶽本野ばらの「J DOLL 私は人形になりたかった」(『恋愛の国のアリス』収録)、
原牧生さんはロシアのカルト作家(といえるでしょう)ウラジーミル・ソローキン(1955生)のスカトロジックな短編小説(亀山郁夫訳)を朗読しました。それと、鈴木さんから送っていただいたCD(プリゴフとタラーソフ、詩の朗読とパーカッション)、著書(ロシアの現代詩・詩人について)を使いながら、ペレストロイカ以後、体制転回期(崩壊期?)の文学・アート(の一部)について。
植松青児はイタリアの作家・化学者プリモ・レーヴィの生前最後のインタビュー(1987年、『プリーモ・ レーヴィは語る 言葉・記憶・希望』収録)を朗読。みごとに三者三様で。

個人的補足:レーヴィのインタビューはその場の即興で読んでみたのですが(当然練習していない)、それは少し前に(浜邦彦さんの紹介で)レーヴィの言葉にふれて、淡々とした語り口であるにもかかわらず、ひりひりするような緊張感が強く記憶に残っていたからでした。声に出して読んでみて、彼の言葉には、聴き手の心に小さな混乱や困惑をおこす力があることを感じました。圧倒的な他者性。小さいけど決して溶解しない異物感。砂粒のように。


朗読GIG #2 11/4(日)

この日は、前半が原さんの「Poetic License GIG」、中半が井上チコさん、後半が参加者の即興という三部構成でした。

この日のリーディング&シングを箇条書きにすると以下のようなものです。思い切りバラエティに富んでいます。

1;原 牧生 ホイットマンの英詩
2;原 牧生 富岡多恵子の詩 数編
3;原 牧生 自作の詩

4;福永幸平 奄美の島唄(アカペラ)

5;井上チコ 穂村弘のエッセイ「エスプレッソ」

6;井上チコ 穂村宏の短歌

7;生野 毅 自作の詩

8;植松青児 小熊秀雄の童話「焼かれた魚」(最初の部分)

9;植松青児 小熊秀雄の詩「ゴオルドラッシュ」

10;福永幸平 奄美の島唄(アカペラ)


原さんの「poetic license gig」は上記朗読を含め、詩論と朗読が交互に行われるような、思考と表現が同時に行われるようなプログラムでした。原さんの英詩朗読は聴いていて気持ちよくなるようなリズミカルなもので、自作の日本語詩を朗読するときとは別人のようでした。


そのあと植松が、10月に参加したイベント(複数)を聴いた朗読をいくつか録音していたので、それを紹介。


福永さんの奄美島唄は、2001年に池袋の路上でお会いして以来何度も聴いているのですが、アカペラで聴くのは初めてで、心をわしづかみにするような歌唱でした。(ちなみに福永さんは26歳、2003年河瀬直美監督の映画「沙羅双樹」に主演)


いのうえちこさんの朗読は、前回に引き続き音楽との掛け合わせが絶妙のバランスの、辛口ポップ路線。


生野さんは吉増剛造さんのイベントで何回かお顔をお見かけして、10/25の茅場町ギャラリー・マキで初めてお話しをした間柄です。今回は私からお願いして自作を朗読していただいたのですが、完成度の高さに驚愕するばかりでした。


植松は、構想中の「小熊プロジェクト」の紹介をして、童話「焼かれた魚」の冒頭部分を朗読して、即興で小熊が北海道弁で書いた詩「ゴオルドラッシュ」を朗読。自分でも驚くほどなめらかに読めました(北海道に住んだことはなく、一回も練習していないのに)。

野口さんに「シャウトしていた…」というコメントをいただきましたが、無我夢中で読んでいたので自分ではよく憶えていません。


最後に、福永さんがもういちど奄美の島唄をアカペラで。「焼かれた魚」も「ゴオルドラッシュ」も移動(または旅)の物語なのですが、それへの応答として、「気持ちを込めて」旅立つ人を送る島唄を。



どれも、いつまでも聴いていたいような朗読や歌唱ばかりで、とても贅沢な、濃密なひとときでした。それも、ヘーゼルナッツ・スタジオという6畳大の会場で。

狭い空間で聴くことの至福。


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